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大野/群響のブラームス4番、名演! [群馬交響楽団]

昨晩は、群響の第474回定期演奏会でした。
会場は、いつもの高崎の音楽センターではなく、前橋の県民会館( ベイシア文化ホール)でした。

指揮はヨーロッパの一流オペラハウスで大活躍の大野和士、 ヴァイオリン独奏は以前、素晴らしいチャイコの協奏曲を聴かせてくれた渡辺 玲子。

曲も大変変わっていて、以下のとおり。
西村朗/ 「桜人」~オーケストラのための~
ブリテン/ ヴァイオリン協奏曲 作品15
ブラームス/ 交響曲 第4番 ホ短調 作品98

群響のホームページでは、次のように紹介されていました。

2010年秋、文化功労者にも選ばれた日本のホープ、大野和士(現フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者)の群響定期再登場。ソリストは日本を代表する国際ヴァイオリニスト、渡辺玲子という豪華な一晩。ブリテンは近年、実演や録音が急増している曲で(1940初演)、ベルクやショスタコーヴィチ作との内的な関連も指摘されている。そして西村朗作品は07年10月以来の群響定期再登場。ブラームスの第4番は、彼の最後の交響曲で最高傑作とされるもの。  (群響ホームページから)

さて、実は、楽しみにしていたのは、西村朗の桜人でした。先日、NHK で放送された西村作品を聴いて、現代音楽というイメージとはちょっと異なる響きの美しさや親しみやすさを感じました。山形や京都で演奏され、なかなか好評な感想をネットで読んでいたので、桜人ちょっと期待していました。聴いてみてラベルのダフニスを彷彿とするようなきらびやかな色彩感のある綺麗な曲と思いました。
先日、ベルリンで佐渡裕が降った武満作品も美しい作品でしたが、それに勝るとも劣らない魅力がありましたよ。多彩な響きの中に時おり、知っているメロディが漂っていたりする。特に、最後の部分でチェロが誰でも知っているさくらのメロディが変容した形で提示されるのは、音楽作品として、聴衆に楽しみを与えてくれているし、媚びている感じもなく、素直に「いいな!」と思わせてくれました。
演奏後は、お約束のように西村さんが舞台に登場し大きな拍手を浴びていました。大変、ご満足の雰囲気でしたが、どうだったのでしょうか?会場が響くホールだったらきっともっと良かったのになと残念でしたが。

中プロのブリテンについては、あまり積極的な感想はありませんね。作品はなかなか面白いなとはおもいましたが、同時代の名作、例えば、バルトークやショスタコに比較するとやはり魅力の面では落ちるような気します。ソリストの渡辺さんは、響きのない、巨大なホールに苦心しながらもさすがの音楽を構築されていたと思います。

さて、メインプログラムのブラームスですが、これは絶品と思いました。大野さんはほんとうに大指揮者の風格。カルロスクライバーの指揮を彷彿とする見事な流線型のブラームスでした。

基本的には、テンポが早めで颯爽としているのですが、旋律線は、R.シュトラウスの楽劇のような濃厚な弧を描き、そこに楔を打ち込んでいく縦線がとても立体的で、構造面、感情面ともに満足できる、名演奏でした。オケについては、弦楽器はとにかく素晴らしかったです。極悪な会場にシルクのようななめらかなサウンドが響いていましたよ。

管楽器はややバラツキも感じましたが、フルートの中條さんのソロは出色でした。ブラームスのこの作品は、何度も聴いていますが、昨晩の中條さんのソロは過去最高の演奏だったと思います。第4楽章のソロを聴いていて、身震いしましたよ。見事でした!

今回の演奏会は自分としては、今シーズンのプログラムのなかでは、実はノーマークでしたが、この素晴らしいブラームスを聴くことができて本当に驚きでした。今日は、太田市で同じプログラムで演奏されますので、こちらも聴きにでかけようかな、と今、思案しています。


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コメント 3

バルビ

同感ですね。素晴らしかったですね。今年度期待の公演の1つでしたが、満足しました。

トゥルノフスキーさんが同じ4番を指揮しましたが、演奏は全く違って(当たり前ですが)、テンポははやく、それでいて音の密度の濃い、そして流れるようなブラームスでした。中身がいっぱいつまって、しかも颯爽といたブラームスだったような。

私は本日の東毛公演も出掛け、今帰宅しました。こちらの方がやっぱり響きが佳いですね。

それにしても、渡辺さんのヴァイオリンの達者なことといったら。凄い。!

お二人とも、また群響に客演していただきたいです。

本日の「お客さんの声」の作文にも感動しました。ある千葉県の会社員の方。
『群響の大ファンで、いつも千葉県からきています。片道3時間位です。』群響を聴きに来てくださるその情熱と行動。嬉しく思うと共に、こういうお客さんに支えられて演奏ができるということを謙虚に受け止め、更なる向上を目指してほしいものです。
by バルビ (2011-07-31 19:19) 

Forte

トルノフスキーさんのブラームスもよかったですね。
あのときも意外なほど颯爽とした演奏でしたが、大野さんの指揮は、流麗という印象を受けました。

結局、今日は演奏会には行けませんでした。
やはり、エリアスの方がいいですよね!

渡辺さんのヴァイオリンはいいホールで聴きたかったです。以前、にしきのホールでチャイコを聴いたときは、どきもをぬかれましたが、今回は曲に親しんでいないのに加え、ホールの響きがなく残念でした。

今、札響をNHK で聴きましたが、キタラの響きがうらやましかったです。
by Forte (2011-07-31 22:18) 

Forte

バルビさん、こんばんは。
こちらは、数か月の間、パソコンが壊れていたので、携帯での更新が続いていましたが、パソコンを新調し、本日、ようやくインターネットにもつながるようになりました。

さて、群響ですが、今回の演奏会は、僕の周りでは、賛否両論、というか、否定的意見が多かったです。仲間から、「これはほめすぎだろう」と言われてしまいました。

もっとも、演奏そのものではなく、会場のあまりに悲惨な響きが影響していたと思います。

大野さんの日程で会場はどうしようもなかったようですが、できれば、前橋市民文化会館でやってほしかったですね。

そうした意味では、新田は悪くなかったのでしょうね。次は、14日の藤岡ですか?? 僕は行けないので残念です。なんといってもマイスタージンガーやりますしね。27日の宮本さんのコンサートには出かけてみようかなと思っています。


by Forte (2011-08-07 22:39) 

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