SSブログ

愛の物語〜二期会のワルキューレ [ワーグナー]

今、二期会のワルキューレを聴いてきたところです。ダイヤが乱れた特急電車から書いています。
まずは大いに感動したことを速報しておきますね。第3幕では涙が止まらなくなってしまったほどです。この作品が愛の作品であるということが徹底的に表現されていました。

期待の飯守先生は素晴らしすぎでした。滑らかで綺麗なワーグナーとは対象的なゴツゴツした感触はやはり先生ならではです。ここぞというところでの大きく彫りの深い表現はさすがでした。

演出も予想をはるかに上回って、本当に最高でした。

人間からは認知されない存在として、神々を同時に扱う手法はホメロス以来の伝統的な方法かもしれませんが、最近の「理」が先行する舞台に馴れている僕らにとってはむしろ新鮮に感じました。

素敵なシーンがいくつかありましたが、特に印象に残ったのは、眠りにつけられる直前のブリュンヒルデが、選ばれた英雄の一人として、しかし、生気を失った奴隷のように淋しくワルハルに登っていくジークムントに永遠の別れの視線を浴びせるシーンです。この場面は通常、ヴォータンが愛娘との永遠の別れに涙するシーンなのですが、今回の演出ではジークムントへの「同情」を越える「愛情」を持つブリュンヒルデと彼の「別れ」も含む、重層的な意味合いが出ていて感動をさらに盛り上げたように感じました。

また、ブリュンヒルデを眠らせたウ゛ォータンが子供時代のブリュンヒルデとさよならをするパントマイムのような演出もまさに娘を持つ自分としては目頭が熱くなってしまいましたヨ。

しかも、そうしたシーンでの飯守先生の指揮の素晴らしいこと!

つまりは、本当に作品の素晴らしさを信じきった人達の仕事だと感じました。

素敵でした。歌手の皆さん、全員最高でした。

オケについては、もちろん、それはバイロイトやベルリンとは比べられませんが、骨太で彫りの深い飯守先生の指揮によくついていったと思いますよ。同じ東フィルの演奏としても、美しさでは新国立でのメルクルの下での演奏が上回ったと思いますが、ワーグナーらしい重厚感や彫りの深さではこちらが上でした。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(1) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。