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思い出の交響曲の大名演、群響のベルリオーズ [群馬交響楽団]

昨晩は、群馬交響楽団の第480回の定期演奏会でした。
出演者と演奏された作品は、以下のとおり。(群響HPから)

指揮:ニコラス・ミルトン
ソプラノ:中嶋 彰子
Conductor:Nicholas Milton
Soprano:Akiko Nakajimaボロディン/ 歌劇《イーゴリ公》より 〈だったんじんの踊り〉
ラヴェル/《シェエラザード》
ベルリオーズ/ 幻想交響曲 作品14
Aleksandr Borodin/ ”Prince Igo r”Polovtsian Dances
Maurice Ravel/”Scheherazade”
Hector Berlioz/ Symphonie fantastique, Op.14
〈だったんじんの踊り〉は中央アジアのメロディーを取り入れた異国風の大人気作。そしてラヴェルの〈シェヘラザード〉は、20世紀初頭のヨーロッパ人が空想した、神秘とおとぎの国アジアを歌ったオケ伴つき大規模歌曲。〈幻想交響曲〉は、ベートーヴェンの死後まだ3年の時点でパリに出現した驚天動地のオーケストレーションによる当時の前衛音楽。オーストラリア出身のヴァイオリニストで指揮者、ミルトンの棒さばきに期待。

今回の演奏会は、最高でした!! 特にラヴェルのシェエラザードと幻想交響曲の作品の素晴らしさに圧倒された演奏会でした。僕にとって演奏の評価とは、究極的には作品の素晴らしさが伝わるかどうかだけにかかっています。そうした意味では、今回の演奏会では、「なんて素晴らしい作品なんだ!」と心の底から感銘を受けました。

ラヴェルのシェエラザードは、生演奏では初めて聴きました。なんとも素敵な作品ですね。ラヴェルの天才に圧倒されました。歌の中嶋さんの素晴らしさは筆舌に尽くしがたく、フランス語の訳文を読みながら聴いていたら、幻想的な詩も含めて、本当にうっとりさせられました。特に、1曲目のアジアの妖艶な雰囲気とトゥッティの壮麗さ、また、2,3楽章のフルートとの音色の競演の素晴らしさ!

演奏会終了後に、ソリストの中嶋さんのトーク会がありました。彼女によれば、フルートの合わせの部分は、3割は歌に、7割はフルートとのアンサンブルに頭を使っているとのことでした。そして、ソロを吹いた中條さんについて、素晴らしいフルーティストとお話されていました。。(中條さん最高です★★★★★。ピッコロ、クラリネットほかの管楽器ソロも見事)

ベルリオーズですが、CDで発売されている、フルネ指揮群響の演奏を聴いているので、これ以上の演奏はないだろうとたかをくくって出かけたのですが、演奏が始まってびっくり仰天。これが素晴らしかった!!!

指揮のミルトンさんですが、とてもドラマティックな音楽をつくりますね。テンポの緩急が大きく、表情も多彩です。指示も丁寧で、アンサンブルも堅固でした。外面的という意見もあるかもしれませんが、僕はワクワクしながら魅了されました。見事です。

ゆったり始まった序奏は、群響の弦楽器の粘りのあるカンタービレが本当に素敵。会場を一気に演奏に引き込みました。その後、テーマが美しく流れ出すと、音楽は精気を帯びて、生き物のように快活に動き始めます。普段は嫌いな提示部繰り返しも、この作品では初めての体験で、しかも、演奏が素晴らしいので、嬉しくなりました。

その後、品のよい第2楽章、寂しげな第3楽章を経て、第4楽章では、断頭台の恐ろしさと祝祭のような華々しさがこれまた見事に描かれている!テンポの設定が実に巧妙で、設計図がきめ細かに描かれているのが、よくわかる。金管楽器のパート全体としてのバランスも最高で、しかも、個々がうまい!! 荒っぽくなく、しかも、力強くもある。

最終楽章のヴァルプルギスの狂宴は、凄まじくリアルに描かれました。これほど純音楽的でありながら、標題音楽としての面白さも知らせてくれる演奏は、過去に知りません。途中から現れる怒りの日や鐘の音色が、死の審判をこれほど想像させてくれるとは思ってもみませんでした。コーダに向けてのアッチェルランドや最後の音の延長はやや外面的な感じがありましたが、もともとエンターテインメントの音楽ですから、この位は別に問題ないでしょう。

満員のお客さんも盛り上がりましたね。僕としては、初めて群響の定期演奏会を聴いたのは、今から32年前、第200回定期での、この幻想交響曲でした(指揮は当時の監督の遠山信二さん。)。当時は、同じ音楽センターでしたが、会場はガラガラ、多分、4,5百人しか入っていなかったのではないでしょうか。でも、演奏は素晴らしかった! 少なくとも、オケの演奏会の経験があまりなかった、当時の僕にとっては本当に素晴らしい演奏でした。この演奏を聴いて、群響ファンになり、それ以降、数百回の演奏を聴いてきました。以降、幻想交響曲も何度も聴いていますね。印象に残っているのは、前橋での高関さんの指揮、そして、高崎でのフルネさんの指揮です。

実は、ベルリオーズには特段の思い入れはないのですが、そうした意味では、僕にとって、群響と僕をつなぐ思い出の作品でもあるのです。今回の演奏は、僕にとっての新生群響の1ページを拓くような演奏会になったような気がします。

中條さんの弟子でもある娘も同様に感激していて、急きょ、二人で20日に開催される東京公演にも聴きに出かけることにしました。

東京方面の方で、群響に興味をもたれた方がいれば、ぜひ、聴いてみてください。損はしないと思います。妖艶なラヴェル、ドラマティックな幻想もどちらもすばらしいですよ!!!

演奏会のご案内は以下の群響HPまで。
http://gunkyo.com/concert/other/%e7%be%a4%e9%9f%bf-%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e5%85%ac%e6%bc%94%ef%bc%882011%ef%bc%892012%e5%b9%b43%e6%9c%8820%e6%97%a5%ef%bc%bb%e7%81%ab%e3%83%bb%e7%a5%9d%ef%bc%bd

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バルビ

今回も素晴らしい公演でした。ボロディンのダッタン人の踊りは、馴染んでいた曲だとばかり思っていたのですが、実演で聴けば面白い曲で、今まで真面目に聴いていなかったことを反省しています。

シェエラザードはおっしゃる通り、中嶋さんの歌唱の素晴らしさに圧倒されました。曲自体、「こんなに面白い曲だったっけ」と、ハーパーのソプラノとブーレーズの指揮のLPを聴き直しています。ボロディンと同じで、真面目に聴いていなかったんですね。

幻想交響曲は、本当に凄い曲ですね。演奏も。最後のたたみかけは、演奏者も大変だったろうと思います。

20日のトリフォニーに行ってきます。東京のお客さんも喜んでくれると思います。
by バルビ (2012-03-18 22:02) 

Forte

バルビさん、こんばんは。

本当は、もっと文章は長いのですが、なぜか、半分しか表示されていまsせん…。

僕も演奏を聴いて、急きょ、娘と東京行くことにしました! あちらでお会いしましょう。
by Forte (2012-03-18 22:08) 

Forte

写真を入れていたのですが、その位置を変えたら、全文現れました。
by Forte (2012-03-18 22:24) 

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